スタンドアローンの記憶
Amazonのブラックフライデーで、
15%オフのMacを衝動買いした。
理由はない。ただ、指が勝手に動いた。
届いた箱を開け、電源を入れた瞬間、
あの頃の記憶が一気に蘇った。
初めてのPCもMacだった。
パワーPC、QuickTime、漢字Talk。
ネットは高価すぎて繋げず、
僕はスタンドアローンで壊れるまで使い倒した。
孤独だったが、そこには確かな創造があった。
誰にも見せないまま、詩を書き、
絵を描き、音を重ねた。
PCは思想の箱庭であり、僕の秘密基地だった。
それから時代は変わり、
僕はWindowsユーザーとして
ネットにどっぷり浸かり、
AIに頼り、便利さに染まった。
思想はクラウドに散らばり、
創造は効率に置き換わった。
だが、今回のMacは違った。
UIの静けさ、余白の美しさ、
触れるたびに「考える手」が戻ってくる。
AIの提案も通知もない空間で、
僕は戸惑いながらも、
かつての情熱を思い出していた。
これは単なる買い物ではない。
思想の再起動だ。
Macは、僕にとってAIデトックスだった。
そして、スタンドアローンの詩人が、
もう一度目を覚ました。


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