車を知らない若者たち
かつて1990年代、日本には「デートカー」
と呼ばれるクルマ文化があった。
スタイルを最優先にし、
後部座席の狭さや実用性の低さすら
魅力に変えてしまう。
夜景の似合うクーペに乗り、
音楽を流しながら街を流す―
そんな時間そのものが若者の価値観だった。
クルマは単なる移動手段ではなく、
自分を表現する“舞台装置”だったのである。
しかし現在、若者の自動車離れが進んでいる。
維持費の高さや都市部の交通事情も理由だが、
それ以上に所有する意味が薄れたことが大きい。
スマートフォン一つで人とつながり、
移動もシェアで済む時代に、
クルマは必需品ではなくなった。
だが、あの頃のように無駄を楽しむ感覚こそが、
クルマの本質的な魅力ではないだろうか。
効率だけでは測れない時間や体験を
与えてくれる存在として、
再び若者に響く余地はあるはずだ。
クルマが“夢”だった時代を、
もう一度思い出したい。


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