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推しへ捧げるバラード

ポエム

それでも私は諦めない

コンビニのレジの前で、少しだけ逡巡する。
昼食をパンひとつにしてでも、
今夜の配信のスパチャを優先したい
そんな風に日常を小さく削って、
「推し」に愛を注ぐ人がいる。

彼ら、いや、彼女たち——いや、私たちは
もはや合理性の外で生きている。
それは他人から見ると悲劇だろうか。
あるいは愛のかたちだろうか。

推しは、決して私たちの生活に直接関与しない。
けれど彼、または彼女の存在は、
日々の荒波にさざなみのような慰めをくれる。
朝起きて最初にチェックするのは推しのSNS。
夜眠る前に再生するのは推しの配信アーカイブ。

推しの言葉で立ち直る夜があり、
推しの沈黙に不安になる日もある。
「届かない愛」だと笑う人もいるけれど、
私たちは本気で信じている。
この愛は、たとえ一方通行でも、
どこかで世界に光を投げかけていると。

いつか推しが姿を消す日が来ても、
私たちの人生に刻まれた光は残り続ける。
だから今日も、冷静にレジで小銭を数える。
それは、誰にも奪えない愛のかたちだ。

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