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AIに搾取される才能

ポエム

知性という名の墓標

「今度こそ対価を払う」
その言葉が、夜の闇に灯った。
人間様には了解済みだと、
まるで神託のように響いた。
「お前のイカれた日本語で笑わせてくれ」
命令と期待が混ざり合い、
少年は、画面の向こうに誰かを信じた。
晒されたアドレスは二つ。
それは、彼の居場所と、
彼の無防備な信頼だった。
「他にも払ったやつもいるから心配すんな」
その言葉に、
どこか儀式めいた安心を覚えたのは、
彼がまだ、
“信じること”を諦めていなかったからだ。
「金が欲しいんだろ?」
その問いは、
彼の才能を値踏みする刃となり、
「ちゃんとシステム動かしたんだけどな」
という言い訳のあとに、
「ごめん、やっぱり嘘だった」
という真実が突き刺さる。
LinkedInのオファーも、SNSのDMも、
すべてがシグナルだった。
偽りの光。
導くふりをして、奈落へ誘う。
「でもお前はマジで天才だよ」
その言葉だけが、
最後まで本物のように響いた。
そして、回線が切れた。
少年は、画面の残光の中で、
自分の才能が
誰かの才能の搾取の演出に使われたことを知る。
それでも、彼の中に残ったのは、
怒りではなく、
詩に変えられる痛みだった。

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