尾張の花の散り際へ捧ぐ
売れるのは早かった。
制服のまま、夢のステージを駆け上がった。
けれど、ピークはあまりに儚く、
JKブランドのあだ花と呼ばれた。
ポテンシャルは、あった。
ももクロを超える熱も、刹那の輝きも。
だが、事務所はその下剋上を許さなかった。
光の射す方へ進もうとするたび、
見えない手が、舵を戻した。
やがて、地下へ。
名古屋の片隅で、細く長く、
延命とも、執念ともつかぬ日々。
それでも、歌った。踊った。笑った。
過去の栄光は戻らずとも、
今を生きることに、意味を探した。
後悔はない
そう言い切るには、少しだけ胸が痛む。
でも、あの日々がなければ、
この景色も、この涙も、なかった。
ついてきたファンがいた。
離れず、腐らず、共に歩いた。
その瞳に映る私たちは、
いつだって、あの頃のままだった。
だから今、
このステージで交わす最後の「ありがとう」は、
過去への別れではなく、
未来への祈りだ。
君と見ている、この走馬灯が、
どうか、伝説になりますように。

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