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不器用な情熱

ポエム

働く意味を教えてくれた人へ

僕はしばらく前から、
軽い精神障害を抱えていた。
家にこもる日が続いていた。

ある日、支援員に言われた。
「気分転換になるよ」 深く考えず、
作業所に通うことにした。

そこは思ったより近代的だった。
水耕栽培の設備。
ミニトマトの自動栽培。
静かで、機械の音だけが響いていた。

最初の僕は、ただ時間を流していた。
やる気もなく、惰性で手を動かしていた。

そこで、一人の青年と出会った。
小柄で、軽い知的障害があるらしい。
仕事は得意ではない。
でも、毎日まっすぐに働いていた。

ある日、彼の腕に火傷の跡を見つけた。
複数あった。 気になって、人づてに聞いた。

以前の作業所で、ひどい扱いを受けていたらしい。
無理をして働き続け、けがを負った。
親に連れられて、今の作業所に来たという。

ここでも彼は要領がいいわけじゃない。
成果だけ見れば、評価されるタイプではない。
それでも、彼は黙々と働いていた。

その姿勢が、周囲の空気を少しずつ変えていた。
職員も利用者も、
彼を見る目が柔らかくなっていた。

僕はずっと、彼を軽く見ていた。
「やる気だけある無能」
そんな雑なラベルを貼っていた。

でも、彼は何も言わず、何も誇らず、
ただ自分のペースで働き続けていた。

その姿を見ているうちに、
胸の奥が静かに揺れた。

成果よりも先に、
姿勢で周囲を動かす人がいる。

そのことに気づいたとき、
僕の中の何かも、少しだけ変わった。

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