ご定期さんの帰郷
年度末の少し冷たい空気の中で、
突然の知らせが届いた。
一年弱寄り添ってくれた定期さんが、
帰郷するというラインだった。
最後に会ったのは、たぶん秋。
その後、連絡は途切れ、
気づけば年が明けていた。
今月になってようやく
久しぶりに言葉を交わせた。
向こうも私を気にしていたらしく、
短いチャットは、
どこか懐かしい温度を帯びていた。
「最後に会えないの」 そう言われた瞬間、
罪悪感と気恥ずかしさが
胸の奥で絡まり、返事が遅れた。
ふと、通話したくなった。
その衝動 を伝えると、
「いいよ」と軽く返ってきた。
近況を確認するでもなく、
ただ他愛のない声を重ねる。
名残惜しさを滲ませると、
再び「今から会えない?」と聞かれた。
今まで言えなかった事情を伝えると、
「ふ〜ん」と小さく頷く気配。
その直後、キャッチが入り、
「ごめん、切るね」と言われた。
感謝と懺悔を伝えようとした瞬間、
ピーッという音だけが残り、
通話は一方的に途切れた。
3分44秒。
短いようで、妙に長い時間だった。
それでも、彼女のこれからの幸せを祈る。
そして、そっと伝える。
王子様じゃなくて、ごめんね。


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